資料等調査は対象地に対する汚染可能性の有無を判断する資料としては重要です。
ただし、過度に記録等資料に頼ることは、現状に合わない調査結果となる可能性があるため、望ましいことではありません。
一般に過去の記録は対象物質の主な使用状況については整備されていますが、運搬過程や水路等による排出経路からの漏洩、仮置場といった不規則な状況は残っていない場合が多いものです。土壌汚染は往々にしてそのような箇所から掲出されるケースがあります。
したがって、資料調査で汚染の可能性が推察された場合は、対象地を直接調査することが望ましいといえます。
概況調査と詳細調査ですが、現在の土壌汚染対策法では特にこのような区別は行っておらず「土壌汚染状況調査」という用語に統一されています。
その中には調査手順が提示されていますが、これらの用語を当てはめると土壌ガス調査及び表層部のサンプリングによる溶出量・含有量調査が概況調査、ボーリング等による深部のサンプリングによる溶出量・含有量調査が詳細調査に比較的近い概念といえます。
調査手順としては、土壌ガス調査及び表層部のサンプリングによる敷地全体把握を行った後、ボーリング等を用いた深部調査へと移行していくのが普通です。
通常、土壌ガス調査及び表層部のサンプリングによる調査で全く汚染が検出されなかった場合は、その時点で調査終了となるケースが多いと予想されます。
ただし、土壌汚染対策法に提示された調査方法で100%の汚染が検出されるわけではありません。後の対策工法の効果的・経済的な実施やより正確な状況把握を行うためには、適切な調査方法を併用して実施することが望ましいといえます。
「土壌汚染対策法」による調査手順例
調査の対象となる物質が第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)の場合、調査手順は以下のように実施します。
対象地に対する区画の作成 ⇒ サンプリング ⇒ 分析 ⇒
⇒ 代表選出地点に対するボーリング調査
調査対象地の区画(土壌汚染対策法より)
<1> 調査対象地の区画
調査対象地の最北端の地点を起点として10m間隔の格子を作成し、面積100平方メートルの区画に分け、これを「単位区画」と呼ぶ。さらに、これに重ねて30m間隔の格子を作成し、1地区あたり900平方メートルの区画とする。
この区画から試料を採取するが、土壌汚染が存在する可能性から対象地を3種類に区分し、試料採取数を調整する。
(イ) 土壌汚染が存在する恐れがないと認められる土地
(ロ) 土壌汚染が存在する恐れが少ないと認められる土地
(イ)(ロ)以外の土地 |